Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピックA:社会的能力を学ぶための基礎的リソース:子どもと養育者のつながり、子ども同士のつながり 5/6

責任を大人から子ども同士のつながりに移行する

一定期間、何人かの子どもたちのケアに取り組み、子どもたちがある程度、安定して、日常的な行動を身に着けたら、養育者から、社会的場面で問題なく行動できる子どもたちに、責任というものを託し始めることができます。つまり、「昇進の機会」を作ります。

子どもたちのグループが十分に機能していて、そのグループの中に社会的責任を全うできるほど成熟している子がいる場合には、例えば、子ども会議のなかで「遊び場にはいつも大人がいて助けてくれるわよね。このグループはとてもいいので、明日は、私がミーティングに出ている20分間は、アンナちゃんが私の代わりをすることにします。何か困ったことが起きたときや、誰かがけがをしたときに、私に連絡ができるようにアンナちゃんに携帯電話を預けます。」と責任を託すことができるようになります。

また、予定しているアクティビティで、子どもたちの一人に、子どもの代表者や秘書係など、「大人のアシスタント」として考え付く役を任せることもできます。

 パーティなどを計画している場合には、子どもたちの一人に子どもたち全員から提案(献立の希望、部屋の装飾など)を集める役を任せることもできます。さらに、一人の子どもに鍵係を任せて、「このロッカールームはいつも鍵がかかっていて、鍵を持っているのはスタッフだけですが、明日から、チャールズくんにも鍵を渡します。ロッカールームから何か出したいときは、チャールズくんに尋ねてください。出してもいいかどうか決められるのはチャールズくんです。チャールズくんには、みんながロッカールームから持ち出したものを元に戻す役目もあります。」

この昇進システムを採用すると、子どもたちが嫉妬したり、不平をもらしたりすることがあります。そのような場合には、「アンナちゃんとチャールズくんのように責任を持って行動できると、みんなも代表者の役を務めることも自分の鍵を持つこともできますよ。」と説明するとよいでしょう。

スタッフが子どもたちの長所を見つけて、それに合う役を任せると、子どもたちが役割をみつけやすくなり、それに応じた秩序を作ることができます。

このプロセスは、子どもたちに物を大切にすることやお手伝いをすることに責任を持たせることから始めることをお勧めします。徐々に、難易度の高い役割を任せて、子どもグループのつながりと社会的秩序に対して責任を担えるようにしていきます。


義務的ではないグループの友情を支える

グループでの活動にある程度の余裕がでてきたら、個人レベルの友情や「仲良しグループ」を推進できます。子どもたちは友だちを作ることができますが、中には、常にグループで行動することに気後れする子もいます。これを助けるには、子どもたちとのミーティングで、仲の良さそうな子ども2人を選び、2人で一緒にやる活動を計画するように求め、他の子どもたちには、この2人が計画している間は、邪魔をしないよう指示します。

この2人のうち1人が興味を示さず、一人がいいという場合には、「いいわよ。ずっとグループの仲間に入っているのが嫌なら、それでもいいのだけれど、○○ちゃんはいつも一人でいすぎるから、たまにはお友だちをお部屋に誘ってみない?では、○○ちゃんと1時間過ごしたい人がいるかどうか聞いてみましょう。

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