Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピック:子どもたちの不安定な愛着パターン(回避型、両極型、または無秩序型)と養育者の行動

不安定な両極型愛着行動

養育者が予測し難い行動(極端に気まぐれ)をし、乳幼児を懲らしめたり、叱ったりし、次の瞬間には優しくするなど感情の起伏が激しい場合に、その乳幼児は両極型の愛着行動を呈することがあります。愛情(ケア)を求めつつも、予測し難い行動をする養育者に怯え、その狭間で窮地に追い込まれます。

この行動パターンは、その子の親も乳幼児期に両親を失った経験がある場合、親同士の口論や暴力に常時さらされていた場合、親が精神的障害を持っている場合にみられます。これらの場合の共通点は、子どもにとって養育者の行動が予測し難いという点です。

  • 両極型の乳幼児は何時も養育者にくっついて離なれず、不満を抱き、なだめるのが難しい。
    • 遊び始められるほどの安心感を持てず、分離不安に取りつかれている。
    • 養育者を支配して、「実権」を握ろうとする。
  • 成長するにつれて神経質になり、他の人がすることや考えていることをネガティブに捉える(「みんなに嫌われている」、「気に食わないと思われている」)。
  • その子自身が他の子を支配しようとし、支配的な方法で他の子を「しつける」ような行動を取っておきながら、後で不快な目に合うこと、誤解されること、または誰からも好かれていないことに不満を漏らす。さらに、養育者が決めたことに常に逆らおうとしたり、条件交渉を試みたりする。
  • 穏やかな交友関係は持たず、特定の誰かとの交友関係を支配しようとする(「あなただけが友達。他の誰かと仲良くするのは裏切り行為よ」)。
  • 極端な場合、両極型の子は、暴力的で、他の子たちに、性的暴行や暴力的な行動などを強要しようとすることがある。
  • この子は、養育者に注目(愛情)を求めると同時に、養育者を嫌うか、または常に批評する。養育者らの対立を誘発する(○○さんだけが好き、○○さんは嫌い)。
  • 常に否定的な関係に気を取られ、やるべきことを避けるか、またはいいくるめようとする。

両極型行動を呈する子どもの専門養育

乳幼児が、養育者の愛情を必要としながらも養育者に恐れを抱いている場合、親密で信頼感のある関係を築くことは困難になり、ひいては感情的な距離と親密性を調節することが困難になる。両極型の子どもたちは酷く苦しんでいるため、安心感を与えることに重点を置かなければなりません。

  • 優しくしながらも、きっぱりした姿勢で接する。その子を懲らしめてはならない。その代わりに、その子に求めていることを穏やかに説得する(譲らない)。
  • その子が迷うときに、(どうすればよいかを)決めてあげる。
  • その子がすべきことに集中できるよう助ける(例えば、絵本を読む間の10分間は他のことは一切しない)。
  • 短時間の活動を組み込んだ分別のある日課を作り、それを毎日続ける。
  • その子がスタッフを非難したり、不満を漏らしたりしても、スタッフは動じずに優しく接して、決めたことを譲歩してはならない。その子に何かをさせようとするときは、(その子がごねても)諦めない。また、説き伏せようとしてはならない。
  • その子が大げさに騒ぐときは、その子が落ち着くようになだめる(「みんなに嫌われているから死にたい」と言う子には、「今は、少しだけ悲しくて怒りたい気持ちになっているのね、でも、しばらくすれば忘れちゃうわよ。たとえ今は、そんなことありえないと思っていても」と言ってみる)。
子どもにイライラしたり、相反する(両極的な)感情を持ったりしていることに気が付いたら、同僚に相談する。その子と、絶えず落ち着いて優しくかつ断固たる接し方ができる距離を保つ。

話し合い

5分間

  • 現在、施設で暮らす子どもたちに、このような行動を呈する子はいるか。いる場合は、名前を挙げる。
  • 子どもが言い争いをしたり、他の子をいじめようとしたり、(絶えず)不満を言ったり、スタッフを非難したりするときに、どのように反応しているか。
  • 自分の家族または友人に、このような行動をする人はいたか?
  • このような行動をする子どもたちとやり取りする際に、難しいことは何か?
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