Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピックA:健全な脳の発達と愛着に物理的刺激が極めて重要である理由 3/4

新生児の脳の活動にベッドが良くない理由

病院モデルのベッドを思い出してください。ベッドは、短時間のお昼寝には適していますが、 何時間もベッドで寝て過ごすのは「刺激」になっていません。

脳の活動は、赤ちゃんがベッドで寝ているときには、低下しています。自然界のことに注意してみると、例えば、ゴリラは赤ちゃんを土の上に寝かしたままにすることや、原始的な生活をしている民族でも、母親が洗濯などをしている間、赤ちゃんが全く動かない箱の中に入れられたままになることはありません。ベッドのような固定されていて動かないものは、脳に全く刺激を与えることができません。また、ベッドのシーツもとても柔らかいため、刺激らしいものは極小です。ベッドの四方が壁で囲まれていると、赤ちゃんは、天井しか見られず、人との接触から遮断されて、周囲の人の活動を観察することができなくなります。

ゆりかご、または写真のようなハンモックの中で、赤ちゃんは、緩やかに揺れ動き、布によって刺激され、身の周りのことを観察します。また、そこから落ちることもありません。

物理的な刺激がどのように脳の活動を調整するのか。
スキンシップとバランス感覚の刺激

研究によると、2種類の刺激が基本的な脳の活動の活性化に最も重要であることが示されています。

皮膚の刺激。舌と口。例えば、赤ちゃんが何かをしゃぶっているとき、母親の腕の中で横になっているとき、抱っこひも(スリング)で母親に抱えられているとき、シーツよりも刺激のあるファンネルやタオルに巻かれているときなどに、皮膚の刺激があります。乳幼児は、養育者との物理的接触を求めて、意欲的にスキンシップを取ろうとします。

バランス感覚の刺激。(体を揺らしたり、止めたり、動かしたり、回転させること)。例えば、養育者が赤ちゃんを運ぶとき、揺りかごやハンモックが前後左右に動くとき、養育者が「たかいたかい」をするとき、笑わせたりするときには、バランス感覚の刺激があります。幼児になると、バランス感覚の刺激を求めて体を回転させて目を回したり、ジェットコースター、ブランコ、メリーゴーランドで遊んだりするなどのバランス感覚が刺激される活動に意欲的なります。

未熟児や低出生体重児についてのさまざまな研究に基づく例

  • 保育器内では、動くことがなく、皮膚への刺激も限られている。無菌化された羊皮に寝かされていた新生児は、滑らかなシーツに寝かされていた新生児に比べると、羊皮が脳の活動を活性化しそれによって消化機能が向上して、1日あたりの体重増加が15グラム多かった。
  • 保育器内の新生児の後頭部に優しく触り、1時間に1度、2分間指で優しくタップすると、胃酸が20%多く生成され、これにより、食欲と体重の増加が促される。
  • 保育器や医療処置ができない国においては、「カンガルーケア」を用いると未熟児の生存率が高まる。これは、その未熟児を養育者が1日中抱え歩くというだけのことである。

    [出典] 以下のリンクに、これらの研究の詳細が記載れています(英語)。

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8009615http://www.kangaroomothercare.com/ref_oprefs.htm
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8723803

  • 他の研究では、赤ちゃんの基本的な体のリズム、例えば、脈、呼吸、食欲、消化、睡眠、警戒心、アイコンタクト、注意力は、養育者が頻繁に赤ちゃんに触れたり、かごを揺らしたりすると徐々に安定することが示されている。

ここに登場する母親をもう一度見て、どれくらい赤ちゃんに触れて、揺り動かしているか、それに対してどれほど赤ちゃんが反応して、よく動くようになるかを観察してみてください。

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