Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

アイデンティティ発達の豊富な源

多くの場合、親許で暮らせない子どもたちは、素性の異なる数多くの大人たちに愛着を持つことに戸惑いを感じます。 非常に多くの場合、子どもたちの愛着は、子どもたちがとても怯えているときに突然に絶たれてしまいます。 例えば、死にもの狂いで怒っている実親のそばから、警察官などによって引き離されてしまった場合、実親が死亡した場合、または実親から離されたときの心情 が悲惨であった場合などです。

幼少期のそのような経験は、子どもたちが、自分のことや自分の居場所(所属)について確かな考えを持つことを尚更に困難にします。 子どもは自分を親と同一視しているため、親が助けてくれなければ、自分に対して悪い印象を持つか、または困惑してしまうことがよくあります。 里親家庭でのケアにおいて、子どもたち自身に関する前向きな考え方の障害となっているものは何でしょうか、またどのように手助けすれば前向きな考え方がで きるようになるのでしょうか。

2つの家族: 忠誠葛藤とアイデンティティの混乱

子どもは、特に里親に託された時点で3歳以上の子どもは、すでに実親に対する愛着を形成しています。里親の目には、この愛着は、ある種の機能障害で、不安に満ち、感情が交錯するものに映ることがあります。 実親が愛情を十分に注ぐことができたかどうかに関わらず、実親への愛着感は生まれ、それが子どものアイデンティティの重要な部分になります。

里親に託された場合、その子は、忠誠葛藤という問題に直面することがよくあります。「両親に愛着を感じているのに、愛情を注いでくれるのは里親。 どうすれば、罪悪感にかられずに、または両親に対する裏切り者にならずに、里親の行為を受け入れることができるのか」

この衝突は、実親が里親に対して未解決の問題(憤慨、嫉妬)を抱えていると、子どもには、里親が大切なものを奪おうとする存在のように映るため、心の傷に なることがあります。 我が子を他人が育てるべきであると判断するのは難しいことであり、ましてや里親にリソースもある場合には、なおのこと難しくなります。

このビデオはデンマーク語です。英語/日本語の字幕は後日公開予定です。アイバンくんの体験談(里親と暮らすことになり、2つの家族の一員になったことについて)

初期の里親と実親の感情

暴力や虐待にさらされてきた子どもを受け入れた場合に、そのような惨状にその子をさらした実親や、託した子に会って遊ぶことを約束した時間に来ない 実親に対して、里親が憤りを感じたり、「実親のことは忘れて、わたしたちと安心して暮らしましょう」といったニュアンスの態度を取ったりすることは、当然のことです。これは、その子が初めて里親に託されて、安心感を得るまでの間は、良い接し方かもしれません。しかし、その期間を過ぎてから、実親と里親という2組の親を持つことについての対話をすることが、その子のアイデンティティを形成する上で必要になります。

他のセッションでも説明されている通り、乳幼児期までの子どもは一定期間を過ぎると、里親に深い愛着を持つ傾向があります。 そうなると、里親を「お母さん」、「お父さん」と呼ぶ子も出てきます。 それは許容されることですが、いずれは、その子自身が自分の境遇について理解しなければなりません。 乳幼児の場合には、里親を実親と認識することでしょう。しかしながら、生みの親もいるということを子ども自身が幼少期のうちから知り、理解しなければなりません。一般に、子どもが3~4歳になったころに、「○○ちゃんには、お父さんとお母さんが二人ずついる」ということを話始めることができます。これは、他の子どもたちまたは大人から「本当の親じゃない」という類のことを、里子が耳にする前に話しておくことが大切です。

実親に対する里親の当然の感情は、時間がかかろうとも、二分化した忠誠心が激しく衝突し合う状況にその子を追い詰めないために、解決しなければなりません。 実親への憤りや恨みは、その子に伝わり、人格形成にそのまま作用するものであると理解することが重要です。

里親のもとで暮らす子どもたちの中には、実親のことを意識的に非難したり、忘れようとしたりする子もいますが、その代償は大きく、自分自身を二分化し、一方を実親への愛着、もう一方を里親への愛着として、自分自身を形成する明らかな要素を2つに隔てたまま成長してしまいます。このような意識は、特に、大人としての自己形成が芽生える10代になってから問題になります。 子どもが新たな心理的発達の段階に到達し、自分について成熟した考え方ができるようになるたびに、子ども自身が、自分のアイデンティティと生い立ちについて理解を新たに築かなければならないため、このプロセスには長い時間を要します。

実親を尊重すること = その子を尊重すること

研究調査によると、実親と里親の衝突は、その原因が何であろうと、子どもの成長に悪影響を与えることが判明しています。

実親に対する里親の態度は良くても悪くても子どもに伝わり、良ければ自尊心が高くなり、悪ければ自尊心が低くなります。 その子に配慮するために、実親と心から前向きに接するというのは、里親にとって難しい仕事の一つです。

反省と対話のための質問:

  • 里親が子どもを受け入れる際、その子の実親に対して湧く感情はどのようなものか?
  • 劣悪な子育てが原因であると考えられるような問題行動を見せた子どもはいるか、それはどんなことか?
  • 実親に対する里親の考え方をその子にどう説明したか?
  • 里親と暮らすことについて里子がすでに理解していることは何か?
  • 実親を素直に受け入れたり、実親の良いところを探したりする上で最も難しいことは何か?
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