Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

雇用者に相当する組織/機関との連携における役割と関係

このプログラムの最初に記入したスコアカードに記載されているように、里親養育の成果は、社会的なつながりに大きく左右されます。この最重要部分は、里親の雇用者に相当する組織/機関との関係です。

トピックA – ソーシャルワーカーとの連携

ソーシャルワーカーは、親(保護者)と協力して、子どもの委託形態の選択、委託に関する長期的計画など、子どもの問題やニーズを明確にする役割があります。 これらの仕事は、その国の法律や市町村の条例によって定められています。
ソーシャルワーカーと里親はお互いに、委託の捉え方が非常に異なります。
ソーシャルワーカーには家族を全体的に把握する義務があるため、主に実親の権利とニーズに重点を置きます。 ソーシャルワーカーはまた、法律や裁判所の判断(子どもは実親のもとへ返されなければならないなど)に拘束されます。
ソーシャルワーカーは数多くのケースを担当しているため、場合によっては、各ケースの里親と連絡を取り合う時間が極めて限られていることがあります。 また、ソーシャルワーカーの職場が頻繁に再編成されて、ソーシャルワーカーが異動または転職してしまうという問題もあります。 そのため、権限機関にとって、里親と長期的かつ十分な関係を確立することが困難になります。
(ソーシャルワーカーの仕事が親を軸にしているのに)対して、里親から委託児童へのアプローチは全く異なり、子どもを軸にします。里親は当然のこと、里子と密接な関係を持ち、里子の感情や問題を知り、感情的な絆を築きます。
これがわかれば、何が可能で、何が「子どもの最善の利益」になるのかについて、ソーシャルワーカーと里親の考えが非常に異なるという点を明確に理解できます。 そこで、里親の仕事となるのは、立場的な相違を理解し、(権限機関の対応が自分の想像していたものと異なってもそれを)個人的な相違と解釈しないということです。
これは場合によっては非常に難しいことですが、ソーシャルワーカーと里親の間に良い関係があり、相互理解があると、子どもに最善の発達がみられるということを示す研究結果もあります。

トピックについての考察

  • ソーシャルワーカーと第一回目のミーティングをしたか?そのときに、ソーシャルワーカーは、里親の委託(契約)、仕事の性質、および権限機関によって里親の成果が良好とみなされる基準について、里親が明確に把握するための説明をしたか?
  • どれくらいの頻度で、ソーシャルワーカーと話しているか?ソーシャルワーカーとの対話は、意見の一致または協力につながったか?
  • ソーシャルワーカーは、里子が実親と会う頻度を定めたか?実施状況はどうか?

ソーシャルワーカーとの関係作りについての提案

  1. ソーシャルワーカーに、里親の仕事と里子の養育の最重要目標とが記載されている文書(パンフレット、マニュアル、ガイドなど)を求める。 この文書があると、里子を担当しているソーシャルワーカーが移動または転職した場合に、後任のソーシャルワーカーが状況をつかみやすい。
  2. スコアカードのコピーおよびソーシャルワーカーへの最重要メッセージをソーシャルワーカーに渡す。 これにより、委託について里親が重要だと考えることへの理解をソーシャルワーカーに促すことができる。
  3. 里子養育期間中にソーシャルワーカーとどの程度の連絡を取り合うことができるのか(その頻度も含めて)について確認する。

トピックB – 里親組織のスーパーバイザーおよび/または管理者との連携

国によっては、里親組織からトレーニングや指導(スーパービジョン)が里親に提供されています。場合によっては、里親組織が委託に関する契約も管理しているところもあり、里親管理者および/または相談員によって運営されています。里子との仕事上の関係進展のための里親支援、日常生活の問題とその解決策についての相談、里子との日常生活についての実践と計画についての協議などが、相 談員および/または管理者の仕事です。

里親を支援するという仕事であるため、また、里親と密接に連絡を取り合うため、おそらく、里親の里子養育の捉え方を熟知していることでしょう。 つまり、里親は相談員に柔軟に耳を傾け、さらに、里親としての仕事で直面する家庭での問題を支援者に説明できるように努めなければならないということを意味します。

スーパーバイザーとの関係についての考察

  • 里子または実親との関係における難しい課題をスーパーバイザーに話すことについてどう思うか?
  • 里親家庭での里子または配偶者との個人的な問題(里子の養育に影響する問題)を話すことについてどう思うか?

スーパーバイザー/管理者との建設的な関係作りについての提案

  1. スーパーバイザーの家庭訪問前に、必ず話さなければならないことをリストにまとめる。 可能であれば、訪問前に、それをスーパーバイザーに送っておく。
  2. スコアカードを活用し、訪問中にスコアカードに書き入れた問題について話し合う。 これは、有効な対話の基礎になる。 これにより、相談員は、里親がどのように里子を養育する仕事を捉えているかをしっかり把握でき、里親をどう支援すればよいかが見えてくる。
  3. 里親の仕事に影響する個人的な問題を誰かに話すことをためらうときは、相談員に話す。 里親になると、個人の反応自体が仕事の一部になるため、極めて個人的な感情であっても相談することが必要になることがある。 そのため、里親と相談員は互いに、何が完全に個人的な問題で、何が里子の養育に関わる個人としての問題であるかについて、境界線をあらかじめ決めておく必 要がある。
  4. 里子を養育するという仕事をする中で、時には支援側のシステムに失望することや支援側の決断に納得できないことがあり、息苦しくなることがある。 そのようなときには、スーパーバイザーに話すことが推奨される。それと同時に、先が見えない問題を抱えても、里親が現実的かつ柔軟な姿勢を保つことが大切である。 里親と権限組織または支援団体との間の衝突は、長い目で見ると決して子どものためにはならない。 しかしながら、里親は、仕事の遂行に不可欠な支援を得るために、常に穏やかに主張しなければならない。
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