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家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

専門的知識を整理する

里親と暮らす子どもが10代になったときに予想されることと、それに対する役割は、どのようなことか。

自分自身の思春期から貴重な専門的知識を得ることができるため、まず、以下の質問について考えてみます。

  1. 自分自身の思春期の移り変わりに、どのようなことを経験したか。
  2. 仲間との関係にどのような変化があったか。
  3. どのような身体の変化を経験したか。
  4. 情緒面でどのようなことを経験したか。
  5. 恥ずかしいと感じさせられたことは何か?
  6. 親に対する考え方、振る舞い、態度にどのような変化があったか。
  7. 親/周囲の大人はどのように支えてくれたか。うるさく感じたことは何か。
  8. 親の言うことを聞くということと、独立を望む自分の気持ちとの間に、どのような葛藤があったか (詳しく説明)。
  9. 結果として、自分が10代のときに最も厄介だったことは何か?

10代の里子を支えるにあたり、上記の質問から自分の個人の能力と経験について思い付いたことを書き出してください。

10代の子どもたちと接する際の一般的な発展と役割

一般に、10代になった里子も、普通の子どもたちと同じ思春期の経験をしますが、初期の不安定な境遇のために、試練の時期となり、情緒が極端に不安定になることがあります。 思春期は、これまでの愛着の方向が逆転し、独り立ちして教養が身に付けられるようにするために、親離れや別れを前向きに行うにはどうすればよいかということが課題になります。

乳幼児期に深刻な虐待や剥奪(デプリベーション)を経験した子どもたちは多くの場合、思春期の始まりが早く(生き残るためのメカニズムと考えられる)、中には8~10歳で経験する子もいます。

研究によると、恵まれない乳幼児期を経た子どもたちが、思春期をむかえると、里親家庭での生活が精神的に難しいものになることがあります。 密接な関係に息苦しさを感じる年頃であり、衝突により進路が中断されてしまうことがよくあります。言い争いや衝突が激しくなり、家出をする、距離を置く、 聞く耳を持たない、論理的に考えることを拒むなどの行動が見られます。 これは、里子が10代になる前に形成した里親との絆の強さに大きく依存します。 小児期から思春期の子どもを迎え入れたけれども、つながりを持つことが里子の里親家庭での暮らしを気難しいものにしている場合、それは、里親家庭でよくあることであると解釈できます。 実際のところ、密接なつながりによって機嫌が悪くなる思春期の若者の多くは、あまり親しくない(親密過ぎない)専門的な養育者と協調することには、あまり 抵抗を感じません。

思春期において、若者は新たな独立心を形成しなればならず、通常は未熟な依存と信頼の狭間で立ち回り、里親との距離を置くことで自立を確保しようとします。 非常に多くの場合、若者は、何が幻想で何が現実であるかを明らかにするために、生みの親や親戚との再会を求めます。
仲間グループとの一体感の方が、里親との一体感よりも、はるかに重要になります。 門限、夜遊び、ピアスの穴開けなどの問題も出てきます。 研究によると、里親家庭に託された若者は、仲間グループと行動することに執着し、里親は多くの場合、例えば、若者が授業をさぼることを見過ごした場合にど うなるかを恐れます(大抵の場合、恐れるに値する当然の理由がある)。 結果的に、里親は実親よりもはるかに厳しくなることが多く、若者にとっては大きな障壁となります。

このような状況を容易に解決することはできませんが、役に立つ専門的な方法がいくつかあります。

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