トピック B: 安全基地モデルに基づいて乳幼児に刺激を与える環境の計画
「私が面倒を見ている子の中に、いつも頭を振って、手の裏をなめる男の子がいました。 以前にもこのような子がいたので、知的障害なのだろうと思っていました。 私は、この子に対して、このセッションで学んだ方法をより多く、より頻繁に、念入りに使いました。 この子は今では、ちゃんと座わっていられるようになりましたし、手の裏をなめたり、頭を振ったりということをしなくなりました。 でも、この子はまだ時々、爪を噛みます。 これもきっと、近いうちに克服できると思います。」
- 体験談 -
里親は、刺激が不十分の赤ちゃんにどの程度の刺激が必要なのかを理解していないことがよくあります。
そこで、2つのことがとても重要になります。
- どうすれば、全般的に刺激的な環境(特に日中)を作ることができるのか。
- 普通の母親が当然のことのようにする物理的接触を乳幼児に与えるための時間が限られているときに、乳幼児に刺激を与える「母親ツール」をどう活用すればよいのか。
ここで、実践活動についての数多くの提案を紹介しますので、それを参考にしながら、現場に即した実践活動に調節していきましょう。
場合によっては、数多くの新たな習慣(やり方)として定着するまで、このプロセスを何回も繰り返して、調節しなければならないことがあります。 日常的な習慣を変えようとすると、最初は混乱して、波に乗るまでは大変なこともありますが、できるところから改善していきましょう。
刺激的な環境改善のための提案
- 子どもたちを抱きしめたり、優しく肩を叩いたり、手を持ってぐるぐる回ったり(メリーゴーランド)、手をつないで散歩をしたりと、物理的な接触を促すことが習慣的にできる環境を作るには、どうすればよいのか。
- 赤ちゃんを頻繁に抱っこやおんぶで運んだり、膝に抱えて座ったりすることを、どうしたら習慣的に行うことができるのか。 どのような道具(例えば、抱っこひも/スリングなど、養育者の体に取り付けられるものなど)を使えば容易になるか
ベッドの改良、またはハンモックや揺りかご(クレードル)との交換
- 皮膚への刺激を高めるフランネルやタオル地のブランケットを使用することで、普段使っているベッドをいくつかの方法で改善することができる(ベッ ドが温かくなりすぎないように注意する)。(1)ベッドの手すりの2ヵ所にかけられるハンモックを作ると、そのままベッドのマットレスの上にハンモックを かけて、自由にスイングできるため経済的である。 (2)ベッドは活用せずに、柔らかいマットレスや布団を床上に置いて、ハンモックを使う。 (3)赤ちゃんが起きているときに身の回りを観察できるようにベッドを改造する。幼児向けには、室内または庭のマット レスの上にハンモックやスイングを置く。幼児がバランス感覚を養う時間を日課に入れる。 これを計画する際は、ハンモックやスイングを特別な部屋に置かない。 これは、普段の生活空間にハンモックやスイングがなければ、子どもたちが興味を示さないからである。 そのため、養育者が過ごしている場所にできるだけ近いところに置くとよい。 どうすれば、遊び場にブランコ、回転木馬などのバランス感覚を養う遊具を作ったり、入手したりすることができるのか。
- どうすれば、ベッドの周りに、赤ちゃんの注意をひくもの(モビールなど)を吊り下げることができるのか。それができなければ、赤ちゃんが起きているときに眺められるものを探さなければならない。
- どうすれば、壁を明るい色や(今までとは)異なる色に塗り替えて、ものや写真を壁に貼ることができるのか。
- どうすれば、自作の歌や音楽を使うことができるのか。 赤ちゃんのために歌うことや、幼児と一緒に歌うことは言語発達に不可欠である。 子守唄は、赤ちゃんの脳に大きな安らぎを与える作用がある。 スプーンやバケツなど身の回りのものを使って、リズムを作り出すことができる。
ラジオやテレビ
一般に、ラジオやテレビからの音声は、赤ちゃんをとても困惑させます。赤ちゃんが言葉を学ぶためには、話している人の音や動きを結び付けて覚えなければなりません。
ラジオやテレビの音声が赤ちゃんを困惑させる理由は、その音声が、養育者とその子がしていることに結び付かないからです。 雑音もまた、赤ちゃんにとって、養育者の話すことを聞いたり、話す様子を見たりということが難しくなる要素です。
ラジオやテレビは、幼児だけに限定して、しかも短時間に限る必要があります。 幼児が何かを見ているときは、幼児が見ているものについて話しかけなければなりません。