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家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピックA: 移行期に求められる寛容さと忍耐

養育者は、子どもが新しい環境に慣れ、里親との情緒的なつながりを築くプロセスに入るまでに、どれくらいの時間がかかるかを甘く見る傾向があります。最初の年は移行期であるために、子どもは新しい状況に自分を適応させることにエネルギーの大部分を使い尽くすということを養育者が理解しなければなりませ ん。 子どもが年長であれば、その分、長い時間が必要になります。 子どもは、気持ちや考えを整理しなければなりませんが、これはとても大変なことです。

里親が、自分に不足があると思い込み、改善しようと神経質になると、その子どもの進歩だけが気になり、良い振る舞い、愛情の証、瞬く間の成果など、あまりに多くことを子どもに求めることになります。子どもは危機に直面している状態にあるため、最初の一定期間は、子どもが、気を休ませ、痛みを和らげ、安心し、受け入れるための回復期間であると、考える とよいでしょう。

子どもが絶えず強いストレスを感じていたり、非常に怒っていたり、悲しんでいたりしても、里親として、その反応を包み込むことによって子どもを支えることができます。 新しく困難な状況への子どものこのような反応は当たり前のことであり、それに対して、里親は穏やかかつ親切に反応することが大切ですが、それと同時に、子どもの反応を個人的に受け取らないようにすることが肝心です。また、忍耐強く接し、子どもにあまり多くのことを要求せず、期待を抱くことも抑える必要があります。最も大切なのは子どもが養育者と新しい環境に馴染めるよう手助けすることであり、移行期の子どもに、多くを教えることに尽力するのは賢明なことはでありません。

トピックB: 子どもから離れることを避け、安心感を与える日課を立てる

最初の数ヶ月間は、子どもから物理的に離れないようにするとよいでしょう。里親のどちらかが常に一緒にいて、里子のことを、養育者の慰めと存在を必要とする幼少期の子どもと同様に考えます。多くの里親の体験談によると、里子はほんのちょっとの間でも放って置かれるとパニック状態になるということが示されています。しばらくするとこのような振る舞いはなくなりますが、場合によっては(そうならなくなるまでに)想像以上に長い時間を要することがありますので、辛抱強く待つことが大切です。

また、しばらくの間は、祝祭日の旅行、友人や親戚を自宅に招くといった家族行事はある程度、控えることをお勧めします。家族行事(ペースの乱れ)が多すぎると、新しい環境への適応が一層難しくなります。他の人がその子どもの生活に関わる前に、その子が里親と一日の長い時間を一緒に過ごす日を重ねて、日常的なことをとにかく一緒に続けてみてください。

子どもは移行期には、家庭での日課を覚える必要があります。 毎日同じ時間に同じことを繰り返すということは、子どもを混沌とした状態から脱出する方法として極めて効果的です。たとえば、寝る前に同じ絵本を何度も(100回でも)繰り返して読み聞かせることは、とても効果的な方法であり、里親がその子のために安心して暮らせる囲いを提供していることを示すことができます。子どもにとって予測しやすい環境を築くために、一般家庭でよくある習慣や他愛もない活動を日常生活に加えることを検討してください。

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