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家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピックB: 実親との連絡のやり取りを実践する – 立ち位置と計画

実親との連絡のやり取りには、社会的関係の管理と現実的な計画という2つの要素が関係してきます。 どうすれば、実親との規則的な関係を維持することができるのか? 一般に、実親との連絡のやり取りとその実践において一貫した立ち居振る舞いが必要になります。

  • 理解と受容を示す立ち振る舞い。 「我子の養育を人に託すという決断には、さぞかし大変な思いをされたこととお察しします。この決断は、責任ある親であるからこその行動だと思いますので、私たち(里親)を信頼してお子様の養育を託してくださることを光栄に思います。これから、お互いに連絡を取り合い、協力していくことに最善を尽くしますので、どうぞご安心ください。
  • 健全な養育の五大要素(セッション5)を活用する。予想しやすい行動で、敏感になり、実親の気持ちを察し、それに基づいた行動をし、安心させるという立場で、実親と同じになるのではなく実親に同情する。 親の気持ちを察して前向きになれるように話す。例えば、 「として、居ても立っても居られなくなるお気持ちや大切なお子様を他人に託さなければならないもどかしさをお察しします。私も自分の息子の学校の先生に焼きもちをやくことがたまにあります。息子は学校の先生の言うことは素直に聞くのに、私たちの言うことは、ちっとも聞いてくれないんですよ。
  • その場に里子も居合わせるときは、例えば、 「○○ちゃんのお母さんが○○ちゃんに会いに来てくれて、とても嬉しいわ。○○ちゃんのお母さんの声はとても素敵ね」と、実親の長所について前向きな話をする。
子どもを託さなければならなかった普通の実親とは、大抵の場合、お互いを知ることができ、ことによると友人関係を築くこともできるため、子どもの 成長を支えるという共通の目標を持つ実親と「同盟」を組むことに取り組むとよい。 また、実親から子どもを連れ去るつもりはないということを最初から話しておくことが大切である。

不安定な実親との面会と連絡のやり取りの管理

場合によっては、里子に関する問題だけではなく、不安定な実親との連絡のやり取りが特に問題となって、里親委託が機能停止になるか、または中断されてしまうことがあります。 この連絡のやり取りは、情緒的ストレスの源になったり、里親家庭全体を混乱させたりすることがあります。
連絡の取り合い(例えば、実親の訪問、実親と里親の面会)を管理するためのいくつかの原則と提案を、以下に示します。

  1. 「親の親」になる。
    実親を単に親として捉えず、未熟な親として捉えながら、親としての責任を果たすことが極めて困難な「子ども」としても捉える。 これは、実親自身が、幼少期の逆境により、人としてあまり成熟していないために、おそらく、衝動的で無責任な未成年と同程度に考えるということを意味する。 実用的アドバイスの1つとして、社会的スキルに関しては、実親の年齢を3または4で割るとよい。
    そのため、里親は、実親に対して、親のような接し方をする必要があり、実親が面会するための骨組み作り、焦らずに、実親が子どもに合う約束を守れなくて も、動揺せずに、些細な事に動揺する実親の悲鳴や罵声にも穏やかに対応する必要があるということを理解しなければならない。
  1. 連絡の枠組み作りにソーシャルワーカーや里親支援組織の相談員の協力を得る。
    訪問や連絡の取り合いの頻度は、権限機関によって定められて いるため、本来、里親が責任を持つべきことではない。 里親と里子の都合に枠組みが合わなければ、権限機関に相談することができる。 実親がごまかそうとしたり、同意したことよりも頻繁に面会を求めたりしても、言い争いをせずに、 それについては、里親の独断で決められることはでないということ、訪問/面会の枠組みを変更できるのは権限機関だけであるということを説明する。

不安定な実親の面会に関する一般的なアドバイス

  1. 不安定な実親と面会を管理するための原則

A. 1日目から、(気持ちを)引き締めて、教育的かつ親切に段取りを明確に設定する。 「ようこそ。お待ちしておりました。 これからお茶を入れますので、よろしければ、その間、キッチンのテーブルにお座りになって、おくつろぎください。そのほうが気楽にお話ができますものね」といった切り口にするなど、実親が不安を抱いていたり、怒っていたり、非常に不安定である場合に、最初の訪問の瞬間から、里親が先陣を切ることが不可欠である。

B. 訪問中に何をするかについての日程表を作り、実践計画を提示する。 何の計画もなしにただ「座って気楽に話す」ことは、どちらにとってもとてもストレスになることがある。 一緒に有意義なことをした方が大切なことに目を向けられる。例えば、 「お茶を飲みながら、今日の予定についてお話しますね。まず、子どもとたくさん笑って楽しい一時を過ごせるように、一緒にケーキを焼きます。 その後、少し休憩します。 もし、お煙草をお吸いになられる場合は、灰皿のあるところへご案内します。 後半は、近所を散歩するか、ちょっとしたゲームをします。 続いて、子どもの日頃の様子についてお話します。そのときに、子どもが描いた絵をお見せします。 その後は、外に出てさよならを言って、次の訪問を子どもが楽しみにできるようにします。 もしよければ、駅まで車でお送りします。」

これは、里親が子どもをどう養育しているかを実親に示し、愛情を注ぎ、役に立つことをして、社会的な振る舞い方を教えている様子を示しながら、親切に指示 をする話し方である。 不安定な実親には、物事の境界を見分けることが難しいため、里親は、連絡のやりとりについて、指示をするようなやり方で、明確かつ単純に説明しなければな らない。 例えば、 「お電話くださるときは、○時から○時までの間でしたらいつでも、お電話ください。 この時間外にお電話をいただいても、家で仕事をしているか、子どもの世話をしていて、電話に出られませんので、よろしくお願いします。

C. 一般に、長時間の訪問よりも、短時間の方が効率がよい。 不安定な実親は限られた時間しか自らを抑制できないため、状況に情緒的ストレスを感じることがある。 4時間の訪問だともめることが多く悲劇的な結末を迎えてしまうのであれば、1時間の訪問に短縮して回数を増やして様子を見ることが推奨される。 またこれは、里親養育を管理している権限機関への提言になる。

D. 訪問の際に実親を養育する。 多くの場合、不安定で未熟な実親は、自分自身の立場でしか物事を捉えることができず、子どもと問題のある会い方をするか、自分に必要なことばかりを話すことがある。 訪問中、実親が子どもとつながりを持つことを期待するあまり、常に、実親の不安定な部分を突く必要は全くない。これは、実親にとって非常にストレスになる ことがある。 そこで、訪問中に一時的に、例えば、里親の一方(母親)が子どもの面倒をみている間に、もう一方(父親)が実親と話をするとよい。 不安定な実親は、子どもとの問題よりも、自分自身の問題に気を取られていることが多いけれども、里親はこれを受け入れなければならない。 これは、子どもを里親養育に託すことになった原因の一つが、そのような行動にあるからである。

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