Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

セッション10. つながりを教える仕事の推進

自我形成を支える

その子だけの空間。
どの子にも、子ども部屋の一角やベッド、食堂のそのお気に入りの椅子、またはその子とその子の専任養育者だけが開けられる箱といった、その子だけの空間があります。

乳幼児にとっては、 くまのぬいぐるみ、おもちゃ、お気に入りのTシャツといったその子にとって特別なものなどがこれに該当し、 養育者には、その子だけの空間やお気に入りのものが他の子どもたちに侵されないよう守る役割があります。

乳幼児の成長し続ける自己認識能力を支えるには、 鏡で遊んだり、声を録音して聞かせたり、普段の様子をビデオに収めて見せるとよいでしょう。 そうすることで、子どもは自分を認識し、周囲とどのような関係があるかを学ぶことができます。

また、子どものベッドやロッカーなどに、その子の写真と目立つ色の名札を貼るのもよいでしょう。

3歳以上の子どもには、その子専用の日記帳を作ります。 毎日、その日の出来事や関心事を子どもに問い、その子の答えを、その子が見ているところ日記帳に書き入れます。 人数や時間に限りがある場合は、これをグループでの活動にして、問いかけに対して考える時間を子どもたちに3分ほど与えます。

時々、その子の様子を写真に収めて、日記帳に貼るのもよいでしょう。 その子の親戚についての情報も、その子と話して、書き入れます。

専任の養育者がその子の行動の個性的な部分について、その子と話すことで、その子が周囲の集団とのつながりを理解したり、その子の特技や才能を見出したりすることができます。 子どもの物理的な成長を定期的に測る、例えば、3ヵ月ごとにその子を壁際などに立たせ、背丈を示す目印を入れて、どれくらい背が伸びたかを明らかにすると いったことが挙げられます。

入学前および入学後の子どもにも、別の意味でのその子だけの空間というものがあります。これは、誰からも干渉されることのない計画的な空間です。 行動上の問題を抱えている子どもたちには、常に誰かと何かをし続けるということを苦痛に感じることがあります。聞き分けのない子だからという成り行きでその子を一人にするのではなく、その子の息抜きの時間を定期的に設けます。そうすることで、周囲との衝突をあらかじめ抑えることができます。 そのタイミングは、例えば、その子が宿題をする時間など、生活の自然な流れの中で確保されるようにするとよいでしょう。

「わたしたちは、子どもたち一人ひとりの「メモリーボックス」というポスターを壁に貼りましたが、これは大成功でした。 このポスターには、写真や切り抜き、その子の靴などが貼り付けられています。 とても楽しいポスターですが、ときどき、センチメンタルになることもあります。」
- 体験談 -

理解度チェック

  • 親許で暮らせない子どもたちの多くに、自尊心が低くなる傾向があり、家なき子のような感情を抱くのはなぜか?
  • 子どもと接して個人空間を守る中で、子どもの自我形成のためにどう協力することができるか?
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