トピックB: 押し付けることから同意を求める方向へ
思春期の子どもたちに特に必要なのは、(子どものすることに挑発されずに、優しくかつ率直に飾り気のなく接する)寛容さと頑固さのバランスが取れ る養育者です。 そのような養育者であり続けるために、子どもからのどの要求に交渉の余地があり、どの要求が言語道断であるかという考えを自分の中で明らかにしておく必要 があります。 里親の限界が試される際には、これを知っておくことが重要です。 本質的に10代の若者とのふれあいではどこが限界になるか試されるものであるため、里親自身が考えを明確にしておく必要があります。 役に立つルールとして、10代の子がどれほど未熟な振る舞いをしようとも、その子の「大人の部分」に話しかけることがあります。子どもたちが10代になる と、「大人の養育者と子どもとの力関係」(ルール)が薄れるため、子どもたちと協調するための他の方法を探す必要が出てきます。 そこで、「契約を交わす」というアイデアが役に立ちます。例えば、以下のような趣旨の話を10代の子どもたちにします。
「成長して、色々なことができる人になったのだから、 何かをする権利やおこずかいが欲しいときは、その対価としての義務を果たさなければならない。 だから、毎日しなければならないことや門限の他に、自分で決められる権限が与えられて、自分で決めたことについては文句を言わずに守るという契約(約束)を交わすことにする。 この契約で里子と里親の間で同意したことを、里子または里親が守れなかった場合にはどうするかということも、この契約に含まれる。 そこでまず、その契約を一緒に作ることから始めるが、お互いに約束しなければならないことについて何か提案はあるか、自分(里子)にとって重要なことはなにか。」
仲間グループ(友達、同級生)の重要度と仲間意識は、里親が考えているよりも、はるかに重要になることがあります。 これは一般によくあることであるため、若者が抱える友達との体面的な問題について、里親は子どもにとって「聞いてくれる人、話せる人」である必要がありま す。 問題を解決するための提案ができなくても、話をすること自体、さらに受け入れる姿勢というものが、子どもにとって大きな支えになります。 とある青年は里親家庭の父親について、以下のように回想しています。 「お父さんにはいつでも、何でも話ができた。○○さんは私の話をただ聞いてくれた。」