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家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

新生児の脳の活動にベッドが良くない理由

何時間もベッドで寝て過ごすのは「刺激」になっていません。 脳の活動は、赤ちゃんがベッドで寝ているときには、低下しています。
自然界のことに注意してみると、例えば、ゴリラは赤ちゃんを土の上に寝かしたままにすることや、原始的な生活をしている民族でも、母親が洗濯などをしている間、赤ちゃんが全く動かない箱の中に入れられたままになることはありません。 ベッドのような固定されていて動かないものは、脳に全く刺激を与えることができません。 また、ベッドのシーツもとても柔らかいため、刺激らしいものは極小です。
ベッドの四方が壁で囲まれていると、赤ちゃんは、天井しか見れず、人との接触から遮断されて、周囲の人の活動を観察することができなくなります。揺りかご、または写真のようなハンモックの中で、赤ちゃんは、緩やかに揺れ動き、布によって刺激され、身の周りのことを観察します。また、そこから落ちることもありません。

物理的な刺激がどのように脳の活動を調整するのか。 スキンシップとバランス感覚の刺激

研究によると、2種類の刺激が基本的な脳の活動の活性化に最も重要であることが示されています。

皮膚の刺激
舌と口。 例えば、赤ちゃんが何かをしゃぶっているとき、母親の腕の中で横になっているとき、抱っこひも(スリング)で母親に抱えられているとき、シーツよりも刺激 のあるファンネルやタオルに巻かれているときなどに、皮膚の刺激があります。 乳幼児は、養育者との物理的接触を求めて、意欲的にスキンシップを取ろうとします。

バランス感覚の刺激
揺れ、停止、開始、体の回転。 例えば、養育者が赤ちゃんを運ぶとき、揺りかごやハンモックが前後左右に動くとき、養育者が「たかいたかい」をするとき、笑わせたりするときには、バラン ス感覚の刺激があります。 幼児になると、バランス感覚の刺激を求めて体を回転させて目を回したり、ジェットコースター、ブランコ、メリーゴーランドで遊んだりするなどのバランス感 覚が刺激される活動に意欲的なります。

未熟児や低出生体重児についてのさまざまな研究に基づく例

  • 保育器内では、動くことがなく、皮膚への刺激も限られている。 無菌化された羊皮に寝かされていた新生児は、滑らかなシーツに寝かされていた新生児に比べると、羊皮が脳の活動を活性化しそれによって消化機能が向上して、1日あたりの体重増加が15グラム多かった
  • 保育器内の新生児の後頭部に優しく触り、1時間に1度、2分間指で優しくタップすると、胃酸が20%多く生成され、これにより、食欲と体重の増加が促される。
  • 保育器や医療処置ができない国においては、「カンガルーケア」を用いると未熟児の生存率が高まる。これは、その未熟児を養育者が1日中持ち歩くと いうだけのことである。

以下のリンクに、これらの研究の詳細が記載れています。興味のある方は、セッション後にお読みください(英語)。

  • 他の研究では、赤ちゃんの基本的な体のリズム、例えば、脈、呼吸、食欲、消化、睡眠、警戒心、アイコンタクト、注意力は、養育者が頻繁に赤ちゃんに触れたり、かごを揺らしたりすると徐々に安定することが示されている。

ここに登場する母親をもう一度見て 、どれくらい赤ちゃんに触れて、揺り動かしているか、それに対してどれほど赤ちゃんが反応して、よく動くようになるかを観察してみてください。

虚弱児と刺激不足の幼児への刺激

刺激される環境にある乳幼児の中でも、未熟児は刺激に対して普通よりも敏感であるため、刺激を何とかに避けようとします。 乳幼児が繊細であれば繊細であるほど、

  • ゆっくり刺激する。例えば、赤ちゃんを腕に抱えてもあまり揺り動かしたり、大きな声で話かけたりしない。 または、赤ちゃんを数秒間だけ丁寧にゆっくりと揺り動かして、赤ちゃんの反応を見て、しばらくしてから(2分ほど)再び、揺り動かす。
  • 極めて短時間の刺激を頻繁に与えることから始めて、徐々に時間を長くする(例えば、数秒間だけ揺りかごを揺らし、数分後にそれを繰り返し、日を追うごとに、揺り動かしたり、触れたりする時間を長くする」)。
  • 過度の刺激の徴候に注意する。 赤ちゃんが驚いて、そっぽを向いたり、泣き出したりすることがある。 刺激を与えた後、赤ちゃんにはしばらく休憩する時間が必要である。 赤ちゃんの刺激に対する限界点を探して、最も適切な刺激のリズムをつかむ。 リズムパターンは、赤ちゃんによって大きく異なります。

母親の妊娠中のアルコール摂取の影響(胎児性アルコール作用/FAE)、さらに深刻な場合、胎児性アルコール症候群/FASを患う赤ちゃんは、極めて刺激に敏感で、室内の灯も強すぎるものは避け、周囲をゆっくり動き回り、静かに話し、赤ちゃんが膝に乗っているときは穏やかさを保つ必要があります。

刺激に関する詳細は、 www.nofas.org/living/strategy.aspx(英語)

胎児性アルコール効果(FAE)と胎児性アルコール症候群(FAS)は、生涯にわたって抱える問題を引き起こします。

薬物の乱用(コカインなどの麻薬)は、妊婦が置かれた環境に関わらず、依然として増加しています。
コカイン摂取を原因とする一般的な症状には、多動、食欲不振、頻脈、過度の衝動的行動、不健康な睡眠パターンが挙げられます。
その他の典型的な特徴としては、出生体重が少ない、アプガースコアが低い、頭囲が普通より小さいといったことが挙げられます。 しかし、これらの症状は、母親の貧窮を原因とすることが多く、生後に普通の養育者に託されれば、これらの問題の多くが解消されます。
そのため、(適切な)施設または里親に託さなければならない場合には、生後すぐにそうすることが極めて重要です。

てんかん発作を起こす赤ちゃんへの刺激については、可能な限り、医療専門家と相談しなければなりません。 赤ちゃんのてんかん発作は、瞬時の強い刺激によって引き起こされることがあります。

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