不安定な無秩序型愛着行動
場合によっては、回避型と両極型のどちらのやり方によっても対応できないような不安や恐れを養育者に対して抱く子どもたちもいます。 この状態を、無秩序・無方向型と呼び、一時的なこともあれば、より長い経過をとることもあります。 子どもが無秩序型の行動を呈するとき、不安過ぎるあまりに、愛情と分離不安への対処の仕方に一貫性がなくなります。 この行動は、例えば、母親自身が幼少期に深刻な虐待を受けた経験を持つ場合や、両親が常習的な薬物乱用者であるか、または幼い子を抱えて戦争や経済危機の 被害者となった場合など、乳幼児期に誰からも刺激や愛情を受けられなかった子どもたちに見られます。
無秩序型にみられる特徴
- 養育者が安全基地として機能していても、養育者に対して恐怖感を持つ傾向にある。
- (例えば)養育者の膝の上に抱えられていても、激しく抵抗する。
- 突拍子もない行動で反応:
- 養育者が姿を見せると、恐れのあまり硬直することがある。
- 養育者の顔色を伺い、目を合わせるのを避ける。
- 単調に泣き叫ぶが、これは養育者を呼び寄せるための行為ではなく、意味のない声や言葉を常時繰り返す。
- 愛情(ケア)を求める行動を突然中断する。養育者を求める素振りを見せていても、その最中に突然に他のことをし始める。例えば、遊んでいる最中に養育者を突然叩いたりする。
青少年期にみられる特徴
- 人やものとのつながりが、一時的でうわべだけ。
- 非常に落ち着きがなく、人やものに集中することができない。 絶えず新しいことを始めるけれども、それを完遂できない、または楽しむことができない。
- 個人的なことに境界線がない(誰にでもプライベートなことを話す)。
- 見境のない行動をする(誰にでも話しかけ、見知らぬ人に慰めを求める) 性的に見境のない行動を呈することもある。
- 罪の意識を感じず、後悔や反省が足りない。
- 魅力的で付き合いも多いけれども、長期的な友達付き合いがない、または特定の養育者との親密な関係をもたない。
深刻なケースでは、年長から低学年期(5-7歳)に「愛着障害」を呈することがある。 周囲と一貫性のある友好関係を持つことができず、長期的な付き合いを築くことができない。 このような一貫した愛着行動が見られないケースは深刻であり、このような行動をする子どもたちは、人格障害を形成することがよくある(境界性人格障害、反社会的人格障害)。
話し合い(5分間)
- 現在、施設で暮らす子どもたちに、このような無秩序型の行動を呈する子はいるか。 いる場合は、名前を挙げる。
- ここに挙げられたような行動をする子どもたちに、スタッフはどう反応しているか。
- 自分の家族または友人に、このような両価型の行動をする人はいたか。
- 無秩序な行動をする子どもたちとやり取りする際に、難しいことは何か。
無秩序型の行動を呈する子どもの専門養育
乳幼児期に(母性)剥奪や親代わりとの関係が無秩序に変化した経験を持つ子どもの発達はすべてが「遅延」します。 幼少期のひずみが多く、異常な育児が重なると、子どもの発達が遅れ、特に社会的、精神的、および脳の発達が遅れます。
結果として、年齢の割に行動が幼い子どもになることがある。そこでまず、
- 触れ合いの種類、言われたことの理解力、集中力が持続する時間の3つの要素が年齢相応であるかどうかを考える。
- 各要素が問題にはならない年齢を考えてみる。
- 子どもたち一人ひとりを優先し、その子が他の子どもとの触れ合えるようになるまで、スタッフが可能な限り、触れ合いを持つ。
- 実際の年齢よりも幼い子に相応する遊びや対話を選ぶ。
- 辛抱強く接し、即時効果に大きな期待を持たない。
- 毎日の生活の中で、赤ちゃんが母親から学ぶことを教えてもよい。
- 目を合わせる時間、対話の時間、物理的接触(スキンシップ)の時間を長く持つ。
- 子どもの日課となる短時間のアクティビティを計画する。