トピック:子どもたちの不安定な愛着パターン(回避型、両極型、または無秩序型)と養育者の行動
不安定な回避型愛着行動
子どもへの愛情をあまり見せない厳しい養育者のことを、乳幼児が身近な存在であると感じられない場合、その乳幼児は、その養育者や周囲の者に対して、回避型の行動で反応することがあります。また、すこし大人になろうとしたり、自分で自分を育てようとしたりする(自力で何とかしようとする)ことがあります。例えば、
- 養育者が離れても、赤ちゃんは反応せず、泣かず、悲しい顔をしない。
- おもちゃや他のことに極端に時間を費やし、養育者が戻っても接触しようとしない。養育者のかかわりを無視する傾向がある。
- 幼年期/少年期の子どもたちは、助けを求めようとしないか、またはそうすることに関心がない。
- 感情を抑えようとし、感じていることをあまり明らかに表に出さない。
- 年齢的にかなり早い時期から、自分で問題を解決しようとする。
- 分離や喪失などの悲しいまたは大変だった出来事を思い出しにくく、打ち明けたりすることができない。
- 自立することを重んじるあまり、感情を表現したり、気持ちを打ち明けたりすることに抵抗がある。
- 冷笑的で、ストレスを抱え、周囲との感情的な隔たりがあるように見えることがよくあり、「どうでもいい」、「大人は信用できない」ということを口癖にし、孤独化する傾向がある。
- 孤独で悲しそうに見えることがよくあるが、それについて話すことを拒否する。
回避型行動を呈する子どもたちは、愛情(ケア)を求めることを諦めて、その代わりに他のものやこと(くまのぬいぐるみや特定の活動)に愛着を持つことで、喪失や愛情の不足を克服しようとします。
回避型行動を呈する子どもたちは、本当は愛情を強く求めているにも関わらず、実親/乳幼児期の養育者らが厳し過ぎたり、無情であったり、居なかったりしたことが原因で、その感情を抑制するという術を身につけてしまいます。つまり、このような子どもたちは、とかく「冷淡」な性格であると勘違いされやすく、養育者の関心や助けを求めないために、日常的な生活の中で忘れ去られてしまうことがよくあります。
回避型行動を呈する子どもの専門養育
回避型行動を呈する子どもたちには、養育者の「安全基地」としての寛容さが要になります。
- その子が愛情(ケア)を必要としていることを察したら、たとえその子から助けを求められなくても、またその子が独りになることを望んでも、養育者はいつ何時でも気を配る。
- その子にとって常に身近な存在であることを示し、気を配り、話かける。
- 養育者自身が感情表現を豊かにし、その子が感じているであろうことを養育者が自らの言葉で表現(代弁)する。例えば、「あら、転んじゃったの。すごく痛かったでしょ。こっちへ来てしばらく一緒に座っていましょう。」
- その子は助けを必要としているけれども、それを示すのが怖いのだから、(その子のために何かをしようとするときはそれを)優しく「主張」して、辛抱強く接する。
- 間接的にアプローチする。回避型の子どもにとって個人的なことを話すのは極めて難しいことではあるけれども、「もの」に関心があり、それに執着していることがよくある。例えば、子どもの関心をくまのぬいぐるみやお絵かきに引きつけて、「くまのぬいぐるみが感じていること」をその子に問いかけてみたり、その子が描いた人物や物体が何をしているのか、何を考えているのか、何を感じているのかを問いかけたりする。そうすると、その子は、「ものを通じて」自分のことを話し、その子が興味を抱いていることを共有することができる。
話し合い
5分間
- 現在、施設で暮らす子どもたちに、このような行動を呈する子はいるか。いる場合は、名前を挙げる。
- 子どもたちが、スタッフの心配、関心、応答を避けるときに、スタッフはどう反応しているか?
- 自分の家族または友人に、このような行動をする人はいたか?
- このような行動をする子どもたちとやり取りする際に、難しいことは何か?