トピック:子どもたちの不安定な愛着パターン(回避型、両極型、または無秩序型)と養育者の行動
不安定な両極型愛着行動
養育者が予測し難い行動(極端に気まぐれ)をし、乳幼児を懲らしめたり、叱ったりし、次の瞬間には優しくするなど感情の起伏が激しい場合に、その乳幼児は両極型の愛着行動を呈することがあります。愛情(ケア)を求めつつも、予測し難い行動をする養育者に怯え、その狭間で窮地に追い込まれます。
この行動パターンは、その子の親も乳幼児期に両親を失った経験がある場合、親同士の口論や暴力に常時さらされていた場合、親が精神的障害を持っている場合にみられます。これらの場合の共通点は、子どもにとって養育者の行動が予測し難いという点です。
- 両極型の乳幼児は何時も養育者にくっついて離なれず、不満を抱き、なだめるのが難しい。
- 遊び始められるほどの安心感を持てず、分離不安に取りつかれている。
- 養育者を支配して、「実権」を握ろうとする。
- 成長するにつれて神経質になり、他の人がすることや考えていることをネガティブに捉える(「みんなに嫌われている」、「気に食わないと思われている」)。
- その子自身が他の子を支配しようとし、支配的な方法で他の子を「しつける」ような行動を取っておきながら、後で不快な目に合うこと、誤解されること、または誰からも好かれていないことに不満を漏らす。さらに、養育者が決めたことに常に逆らおうとしたり、条件交渉を試みたりする。
- 穏やかな交友関係は持たず、特定の誰かとの交友関係を支配しようとする(「あなただけが友達。他の誰かと仲良くするのは裏切り行為よ」)。
- 極端な場合、両極型の子は、暴力的で、他の子たちに、性的暴行や暴力的な行動などを強要しようとすることがある。
- この子は、養育者に注目(愛情)を求めると同時に、養育者を嫌うか、または常に批評する。養育者らの対立を誘発する(○○さんだけが好き、○○さんは嫌い)。
- 常に否定的な関係に気を取られ、やるべきことを避けるか、またはいいくるめようとする。
両極型行動を呈する子どもの専門養育
乳幼児が、養育者の愛情を必要としながらも養育者に恐れを抱いている場合、親密で信頼感のある関係を築くことは困難になり、ひいては感情的な距離と親密性を調節することが困難になる。両極型の子どもたちは酷く苦しんでいるため、安心感を与えることに重点を置かなければなりません。
- 優しくしながらも、きっぱりした姿勢で接する。その子を懲らしめてはならない。その代わりに、その子に求めていることを穏やかに説得する(譲らない)。
- その子が迷うときに、(どうすればよいかを)決めてあげる。
- その子がすべきことに集中できるよう助ける(例えば、絵本を読む間の10分間は他のことは一切しない)。
- 短時間の活動を組み込んだ分別のある日課を作り、それを毎日続ける。
- その子がスタッフを非難したり、不満を漏らしたりしても、スタッフは動じずに優しく接して、決めたことを譲歩してはならない。その子に何かをさせようとするときは、(その子がごねても)諦めない。また、説き伏せようとしてはならない。
- その子が大げさに騒ぐときは、その子が落ち着くようになだめる(「みんなに嫌われているから死にたい」と言う子には、「今は、少しだけ悲しくて怒りたい気持ちになっているのね、でも、しばらくすれば忘れちゃうわよ。たとえ今は、そんなことありえないと思っていても」と言ってみる)。
話し合い
5分間
- 現在、施設で暮らす子どもたちに、このような行動を呈する子はいるか。いる場合は、名前を挙げる。
- 子どもが言い争いをしたり、他の子をいじめようとしたり、(絶えず)不満を言ったり、スタッフを非難したりするときに、どのように反応しているか。
- 自分の家族または友人に、このような行動をする人はいたか?
- このような行動をする子どもたちとやり取りする際に、難しいことは何か?