日々の実践と病院モデルの比較 1/4
セッション3では、安定した養育者の行動について以下のことを学びました。
- 日課的な仕事だけではなく、つながりを教える仕事にも力を入れる。
- 子どもがふれあいを求めるときは、それに反応し、子どもと頻繁にふれあう。
- 子どもが助けを求めやすい存在になる
- 子どもが怒ったり、悲しんだり、落ち込んだりしても、それに振り回されることなく、その子どもを思いやる。
- 気持ちや考えていることを、子どもに話しかける。
このセッションでは、従来の養育体制と、それによる子どもの発達と愛着への影響について説明していきます。
孤児院の組織化は何百年も前に始まったことです。当時は、それが病院から出発したため、病院のように組織化されていました。その原則の多くは、現在も、施設や里親家庭に根付いているものですが、それは単に、「今までそういうやり方をしてきた」ので、そうしてきただけのことであり、それについて他のやり方については、誰も考える余地がありませんでした。
グループでの話し合い
以下の項目のうち、現在の職場で行われている項目にチェックを入れて、後続の質問について、話し合います。
病院モデルの実践および環境を有する組織
- 0~3歳の乳幼児用に、複数のベッドが壁際に沿って並べられた大部屋がある。
- 壁は一色で統一され、写真、装飾品などはベッドから見えるところにない。
- 日課は作業スケジュールに厳密に従う。日課に集中し、子どもたちとつながりを作ったり、対話をしたりすることはない。
- スタッフは病院の制服のようなユニフォームを着ている。
- 乳幼児は日中の大半をベッドで過ごし、部屋から出ない。養育者と床の上で遊ぶことはない。
- 室内は、子どもたちが音を立てなければ、ひっそりとしていることが殆どである。
- スタッフは日課的な仕事に集中し、休憩中はスタッフ同士で時間を過ごし、そこに子どもたちがいることは滅多にない。
病院モデルの価値観
組織全体が、「組織にとって何が良くて、何が悪いのか」、「病院モデルでの従業員と管理者にとって重要なことは何か」といった一連の価値によって導かれている。
- 優秀なスタッフとは、日課的な仕事にのみ集中して、日程表から逸脱しないスタッフのことである。
- 子どもたちとの社会的/個人的なつながりは有害とみなされる。スタッフが子どもたちと仲良くしたり、精神的な愛着をスタッフに抱かせたりすると、子どもたちは心を痛めるか、または甘やかすことになる。
- 子どもたちは刺激されると、面倒な問題児になる。
- 子どもたちを抱き上げすぎると、子どもを甘やかすことになる。
- 優秀なスタッフとは、イニシアティブを取らず、言われたことに服従するスタッフのことである。
- 落ち着いていて、よく寝る子どもは良い子で、活動的な子どもは問題児である。
- 自分の子どもの育て方と施設の子どもの育て方には、大きな違いがある。
- 特定のスタッフが毎日、同じグループの子どもたちと接することはなく、スタッフは日中および週/年に入れ替わる。
- 施設でのスタッフの仕事は、社会から認識されず、感謝もされない。
- 子どもたちとの接し方は誰でも知っていることであるため、教育は不要である。
グループでの話し合い(各10分間)
- 「病院組織」の説明文について、自分の職場に該当することはあるか?それが良い実践であるとみなされる理由は何か?
- 「病院組織の価値」の説明文について、自分の職場に該当することはあるか?その価値が重んじられる理由は何か?