トピックA:社会的能力を学ぶための基礎的リソース:子どもと養育者のつながり、子ども同士のつながり 1/6
スタッフの人手が不足している施設においては特に、子ども同士のつながりには、社会的能力を身に付けるための社会的リソースが豊富にあります。スタッフの人数が限られている場合は、子ども同士のつながりというリソースを最大限に活用することができますが、これには、それ自体の問題があります。
健全な養育者と生活していた子どもたちとの接し方
施設に託される前に、良質の養育を受けていた乳幼児においては(死別、災害、事故など理由で親を失った場合)、一般的な子どもたちと家庭外に置かれた子どもたちとの間に、接し方の違いはあまりありません。
実親という良い養育者を失ったというトラウマ的な経験を乗り越えられるまでに、ある程度の時間を要することはありますが、生後数年間に健全な養育を受けることができたために、社会的に交わる術をすでに身に付けています。健全な養育スタイルを実践している養育者による家族グループでの生活を経験してきた子どもたちの場合は、実親を失ったことを深く悲しみますが、やがて、普通に他の子どもたちと遊び、交流できるまでに回復します。子どもグループのために、孤児についての本を読んだり、子どもたちが喪失にどう反応するかを説明したり、親を失った子どもたちについての寸劇を作ることは、好ましい活動です。
この子どもたちにおいては、スタッフに課せられる仕事は、社会的交流を支え、子ども同士で交流できる豊富な環境を与えるという単純なことになります。
赤ちゃんについては、2~3人の養育者がいる家族グループで、カーペットや畳の上で座って、乳幼児全員を這い回らせることが、お互いに交流の仕方を身に付けられる絶好の設定です。最も重要なつながりは、大人の養育者ですが、乳幼児は、「並行あそび」をすることがよくあります。これは、子ども同士で遊び、お互いにしていることを観察したり、何かを取り上げたり、歩き方を覚えたり、といったことです。
3歳以上の子どもたちにとっては、ゲーム、合唱、サッカー、ホップ/スキップ/ジャンプ、卓球、かくれんぼ、お絵かき、おもちゃ/人形/フィギュア遊び、デコレーション、粘土遊び、ダンス、ブランコやジャングルジム、大人のお手伝いといったことが、子どもたちがお互いに協調し、お互いから学べる社会的交流の機会を自然かつ豊富に作り出します。
話し合い
10分間
- 子どもたちが一日の大半を子ども同士で協調・交流しなければならない日ごとの活動計画(ゲームの時間など)はあるか?
- スタッフが幼少期の経験には、どのようなゲームやアクティビティがあるか?それを活動計画にどう取り込むか?(提案リストを作成する)
- 子どもたち自身が、例えば、おもちゃの取り合いのような衝突(けんか)を解決できるように、スタッフはどう手助けするか?
- 子どもたちがしていることを成し遂げられるようにお互いに協力し合わなければならない環境を作り出す方法として、考えられることは何か?
- 子どもたちは、その年齢と、施設に来る前に経験してきたことに応じて、人生の初期にその子どもが経験した不適切なケアをありのまま反映するかのような振る舞いをすることがあります。そのような子どもたちと、どのように接すればよいのでしょうか?