トピックA:社会的能力を学ぶための基礎的リソース:子どもと養育者のつながり、子ども同士のつながり 2/6
養育者と子どものつながりから学んだ社会的能力は子ども同士のつながりにも継続される
社会的能力を高め、社会の中で生産的な一員となるための原点は、生後0~1歳から乳幼児までの期間に、両親や養育者から教えられる基本的社会能力にあります。養育者が健全な形で行動すれば、赤ちゃんは自分や他人を認識することを覚え、周りの人とのアイコンタクトの仕方、分離や衝突への対処の仕方、遊びながら学ぶことを覚えます。幼児期への成長の過程で、これらの能力は、他の子どもたちとの社会的やりとりに移行されます。
これは、子どもが委託されたときの年齢が0~2歳であれば、養育者と子どもの交流を通じて基本的社会能力を子どもに教えられる可能性が高くなることを意味します。施設に託される前に(特に2歳を超えてから委託された場合)、異常な養育を経験してきた子どもたちは、社交的に振る舞えるようになるまでに、大人から多くの助けを必要とします。
セッション10で説明したように、集団(最初の家族、無作為に入れ替わる養育者など)というものに対してマイナスの印象を持っている子どもたちは、他の子どもたちとの社会的やりとりに勤しむ能力があまり養われていません。非常に苛立ち、場合によっては、衝動的、暴力的、服従的、または消極的になり、引きこもることがあります。生き残るために、うそをつくことを覚え、養育者に不信感を抱き、ごまかそうとすることがあります。
子どもの行動上の問題は、悪影響を及ぼす刑務所のような文化を生み出すことがある
(幼少期に大人との最初のつながりから覚えるはずの)社会的能力が欠如していると、子どもとの接し方の問題に直面して、スタッフや里親が仕事を辞めるという事態を引き起こすことがあります。
もしかすると、スタッフが、マイナスのつながりに挫折することもあれば、あらゆる状況をコントロールしようとして力が尽きてしまうのかもしれません。養育者と子どもたちの間のコミュニケーションでは、様々な縛り、遮断、疑念が立て続くことになります(「あれはだめ、これはだめ、あなたからは目が離せないわね、部屋の鍵はスタッフだけが持てるのよ」など)。秩序を保たせようとして、あれこれ言うと、まるで刑務所のような雰囲気になり、子どもたちはそれに囚人のような振る舞いで反応するようになるため、事態は悪化して、ますます反社会的になります。これは、大人になってから我が家と感じられる場所が刑務所という状況を生んでしまいます。
社会的能力の乏しい子どもたちの振る舞いを直し、前向きな協力関係を持つことから恩恵が得られるようにするには、どう手助けすればよいのでしょうか?健全かつ安定した養育者として振る舞うことは、効果的な方法の1つです。子ども同士の社会的な相互の影響を支援することもまた必要なことです。