トピックA:基本的な愛着理論(アタッチメント) - 愛着の仕組み 1/4
ジョン・ボウルビィは、第二次世界大戦で孤児となった乳幼児の悲嘆反応を研究した英国の児童精神医学者です。ボウルビィは、その研究調査をもとに、人間の子どもの発達における「愛着理論」を確立しました。ボウルビィの最初の疑問は、 「子どもたちはなぜ、生後さらに成長中と長きにわたり親に愛着を持つのか」というものでした。
動物はなぜ愛着行動を示すのか
原始的な生物(爬虫類、魚類、昆虫類)は、「母親」が1回の出産でたくさんの命をこの世に送り出します。中には、1時間に数千個の卵を産む魚もいます。しかしながら、この種の生物において、卵を生んだ「お母さん」が「赤ちゃん」を一生懸命に育てることはありません。これは、卵の中いる間に、「赤ちゃんの脳の発達」が完了するためです。「赤ちゃん」には、卵から出てすぐに、這ったり、泳いだり、狩りをしたり、食べたりする能力が備わっています。卵から出る前に脳の発達が完了しているために、「母親による子育て」は不要ということです。
それに比べて、哺乳類(猫、犬、クジラ、ゴリラ、人間など、授乳する動物)は、全く異なる生い立ちを経るだけではなく、とても複雑な脳を持って生まれます。また、1回の出産で生まれてくる赤ちゃんの数が少なく、その数少ない赤ちゃんを育てることに時間をかけます。人間の赤ちゃんは、とても未熟な脳を持って生まれてきます。その未熟な状態が何年も続くため、両親は子どもの脳を整えて「プログラミング」します。その中で、子どもたちは、大人から、読む、考える、協調する、問題を解決するといったことを学んでいきます。つまり、養育者のしつけと保護を受けながら、脳が作り上げられていきます。
人間の脳が完全に発達するまでには、14~17年を要し、その間、養育者からの養護と支えを終始、必要とします。
話し合い
5分間- ペットを飼っているか?
- ペットが子どもや卵を産んだ後、例えば親猫は子猫にどのように愛情を注いでいるか?例えば、親猫が子猫に愛情を示すときには、どのようなことをするか。
- 子猫が独り立ちする(もらわれていく)までに、親猫と子猫はどれくらい一緒に暮らすか。