トピック B:探索行動を促す乳幼児の安全基地作りに取り組む 2/5
安全基地と探索:子どもの遊びと他の子どもとのふれあい
乳幼児が、あまり不安を感じずに離れるということを覚えると、その子どもに安全基地が確立されます。安全基地を持つ乳幼児は、分離不安のために泣いたり、しがみついたりすることに全力を費やさなくなります。乳幼児と接するときは、最初はその子どものそばにいて、あまり動き回らないようにします。養育者がそばにいることで、その子は穏やかになり、養育者が居なくなってしまうことへの不安を抱かなくなります。
その子どもに安全基地を与えることができてはじめて、「探索」という他の行動が見られるようになります。養育者がそばにいることで穏やかになり、「愛着システム」の「電源」が切れて、「探索システム」という新たなシステムに自動的に電源が入ります。
養育者が居続ける安全基地を確保した子どもは、養育者のそばから離れて、おもちゃで遊び、何かを学び、身の周りを探検し、好奇心を持ち、他の子どもたちとふれあい、小さなことに挑戦し始めます。
これが探索行動と呼ばれるものであり、子どもの成長には極めて重要な行動です。健全な子どもは、安心するまでの間、一時的に養育者にしがみつきますが、次第に、遊んだり、探検したりすることを始めます。これは、身の周りのことを学び、大きくなってからの教育と学習の意欲を身に着ける唯一の方法です。そのため、安全基地を確保した子どもたちは、分離を避けることに全力を尽くす子どもたちよりも、多くのことを学びます。
例えば、子どもを、新しいグループの仲間に入れようとすると、最初は、養育者の足にしがみついて泣く(愛着行動)傾向にありますが、養育者がその場に穏やかに留まれば、その子は養育者のもとから這い出て、おもちゃで遊び、他の子どもたちとふれあう(探索行動)ようになります。そのときに、養育者が立ち上がり、その場を離れようとすると、その子は養育者のもとへ戻ってきて、しがみついて、養育者がその場から離れようとするのを阻止しようします(愛着行動)。
グループでの話し合い
- そばから離れようとすると、子どもがしがみついたり、泣いたりすることはがあるか。
- 子どものそばから離れたり、他の子どもの面倒をみたりする際に、どのように「離れる」習慣があるか?
- どのようにして子どもたちのそばにいて、どのようにして「安全基地」を与えているか?
- どのような時に、子どもたちは安心して、スタッフから這い出て、他の子どもたちと遊び始めたり、ものやおもちゃで遊び始めたりしているか?
- どうやったら、日常的な習慣として「いないいないばあ」や「かくれんぼ」といった「練習」をすることができるか?
- 探索したり、遊んだりせずに、スタッフに常にしがみついている子どもはいるか?どのようにすれば、その子どもにに安心感を与えることができるか?