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家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピック B:グループのアイデンティティに関する専門的な仕事 1/5

トピックBでは、グループ形成と安定したグループへの子どもたちの所属感を促す実践について、数多くの提案が用意されています。
項目ごとに、2分程度の時間をかけて、その社会的機能の実践をどう最適化するかについて考えて、書き留めてください。 それをもとにして、セッションの終わりに、グループ形成の実践について話し合い、計画を立てます。


A. グループの名前付け、活動、境界、儀式

子どもたちの多くは、単に同じ部屋で生活をしているからといってグループ化するとは限りません。子どもたちは、社会的な交流を生み、情緒面での絆を作るために養育者からの支援を必要とします。

家庭のような感覚を与えるために、子どもたちが一定の部屋(複数可)で生活をすることも必要です。生活する部屋は、単に「32号室3班」のような管理色の強い名前ではなく、一意の名前を付けて、文字や写真をドアに貼ります。例えば、ライオン、プラウドワンズ(Proud Ones)、ブレーブス(Braves)、スウィートキッズ(Sweet Kids)といった地域の文化に馴染みのある前向きな名前にするとよいでしょう。

子どもたちに、グループの名を提案してもらったり、それをドアや仕切り壁に書いてもらったり、グループ名を象徴するイラストや写真を貼ったり、グループ単位のグループ史としてアルバムや日誌を作成したりするとよいでしょう。
それには、そのグループに所属している子どもと大人の名前、グループメンバーの特徴、グループに仲間入りした日や巣立った日、グループでの生活にどう貢献したかなどを書き入れるとよいでしょう。
また、グループのテーマソングを考えると、グループの一体感が強まります。新しい子どもがグループに入るたびに、歌に歌詞を加えるのもよいでしょう。

後続の話し合いに向けて、この項目についての考えやアイデアをメモしておいてください(2分間)。


社会的なグループには、そのグループへの出入に明らかな境目が設けられています。子どもまたはスタッフがそのグループに新たに加わる、またはそのグループから出る(メンバーの出入)際には、その境界がはっきりと区切られます。

これは、新しい子どもまたはスタッフが、施設に来た日にそのままグループでの生活を始めるということではなく、ミーティングなどで紹介され、既存の子どもやスタッフの代表が、歓迎の言葉を述べて、そのグループの他のメンバーに紹介されるという意味です。新たに加わるメンバーが、物心のつかない幼い子であってもそうします。赤ちゃんであってもこの方法で、受け入られなければなりません。これは、グループの既存の子どもたちが全員で支えなければならない新しいメンバーであるということを認識するためのものです。

子どもが巣立つときは、単に巣立つのではなく、その子が社会生活にどう貢献したか、その子の長所、その子はこれからどこへ行くのか、その子がどうなることが期待されるのかということを、そのグループの子どもたち代表者らと養育者が発表するお別れ会を設けます。また、巣立つ子どもは、絵を描いたり、スピーチをしたり、グループの日誌に寄せ書きや写真を入れるといった巣立ちの儀式をするなどして、グループに積極的に貢献します。これは、一般家庭で普通に行われていることです。

新しいスタッフは、グループの伝統を覚え、継続していく必要があり、既存のスタッフはそれを同じやり方で教えていかなければなりません。グループの日誌には、グループ生活の出来事について書き入れます。

よくある社会的活動においては、赤ちゃんをできる限り、養育者とともに紹介することで、人生の初期から「グループの一員」であるという感覚が芽生えるようにします。

後続の話し合いに向けて、この項目についての考えやアイデアをメモしておいてください(2分間)。

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