Fairstart Global - JAPAN -
家庭外に置かれた子どもたちを養育する施設スタッフおよび里親のための「フェアスタートトレーニング」

トピック B:グループのアイデンティティに関する専門的な仕事 4/5

D. 子どもに適したレベルの責任を見つける

これは、グループの仲間入りがスムーズに進まない(衝突が多い)子どもたちにおいて検討できます。責任を背負い過ぎる、または意欲的に協力することを学んだことがないために全く責任感がない場合です。効果的な学習プロセスとして、親代わりのスタッフが指導する中で、子どもの責任を徐々に増やすとよいでしょう。また、養育者に裁量があること、子どもに裁量があること、子どもと養育者の間で交渉の余地があることを明確にすることも良いアイデアです。
例えば、「スタッフは、子どものお小遣いの額を決めることができて、そのお小遣いをもらうために子どもはどれほどのお手伝いをしなければならないか、ということについては交渉の余地がない。ただし、もらったお小遣いで何を買うかは、子どもが決めて、買おうとしているものが危険なものでない限り、スタッフは口出しできない。また、お小遣いを貯めて高価なものを買いたい場合は、親代わりのスタッフに相談することができる。

例えば、「他の人たちの役に立たなければならないし、協力的でなければならない」というようなモラルを一方的に、どういう振る舞いを指すのかという手本を見せることなく、子どもに話すのは良くありません。「これをこういう風にしてくれると、とても助かるわ。そうすると、みんなからいい人だと思われるわよ。」

後続の話し合いに向けて、この項目についての考えやアイデアをメモしておいてください(2分間)。


E. 親近感と個人的つながり

役割を見つけるという葛藤がなくなると、大抵の場合、子どもたちが個人的および親密なつながりを形成することに不安を感じなくなります。誰彼構わず付いて回ったり、他の子どもが嫌がるのにキスをしたりなど、正常なレベルの親密さがわからない子どもには手を焼くことがあります。また、個人的なつながりを拒否する子どももいれば、必要としていること、感じていること、考えていることなどを養育者に話したがる子どももいます。ここで、振る舞い方のルールがあると、バランスを取ったり、感情的な親近感と社会的つながりにおける距離(節度)を調整したりすることに役立ちます。

例:
「好きな人には、肩をトントンと叩いてもいいけれど、最初に、そうしてもいいか相手に聞かくのよ」
または
相手に遊びたくない、友だちになりたくないといわれたら、しつこく迫らずに、他に遊んでくれる人を探すのよ

スタッフは、みんなの前で話してよいのはどんなことで、どのような言葉使いをするべきで、さらに私的な話、親しい人とだけの話、および砕けた話の違いについて、わかりやすく教えなければなりません。例えば、子どもが何か間違ったことをした場合に、スタッフはまず、それについてグループ全員に話すか、それとも、その子とスタッフの間だけの個人的な話にするかを判断しなければなりません。

個人の空間と共有の空間の境界についてもしっかり説明する必要があります。例えば、子どもが宿題をしているときは、他の子どもたちは邪魔をしない。スタッフはドアをノックしたときに、それによって子どもが何かを中断しなければならない場合は、子どもが応答するのを待つ。

後続の話し合いに向けて、この項目についての考えやアイデアをメモしておいてください(2分間)。

F. 場所/場面ごとの取り組み

普通の日のことを思い返して、例えば「ダイニング/キッチンで食事をする」という特定の場所と場面を挙げて、そこでの機能/役割を明らかにします。例えば、

  • スタッフがダイニング/キッチンにいるときは、子どもたちの代わりに決め事をするのは誰か?
  • ダイニング/キッチンで食事をするときは何をする必要があるのか?
  • ダイニング/キッチンで子どもたちが手伝うことは何か?
  • ダイニングルームでしてはならないことは何か?
  • 話をしてよいのはいつで、話をしてはならないのはいつか?
  • 子どもたちが、食事を楽しくて快適に感じられるようにするには、どうすればよいか?例えば、食後に、その日のことを話す、何か楽しいことをする、雑談をするなど。

上記の質問は、ダイニング/キッチンの例ですが、特定の場所での日常的な機能/役割を考えてみてください。そうすることで、特定の場面での振る舞い方を、全員で覚えて、練習することができます。

後続の話し合いに向けて、この項目についての考えやアイデアをメモしておいてください(2分間)。

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